第5回 ~五羖大夫①~

五羖大夫は「ごこたいふ」と読みます。紀元前600年ごろの人で、名を百里奚(ひゃくりけい)といいます。

百里奚は知る人ぞ知る賢人でしたが、その経歴があまりにもみすぼらしかったために奴隷として売られ、後にその価値に気が付いた君主に買い戻されたという逸話のある人物です。

この話で面白いのは、誤って奴隷として捨てた百里奚を買い戻す際、高値で買い戻そうとした君主(秦の穆公)が家臣に「高値で買い戻そうとすれば、その価値を相手に気づかれてしまう」と言われて、「大金」から「五枚の皮」に替えて交渉したというところです。

五羖大夫の羖とは羊の革のことで、五羖大夫といえば「五枚の羊の革で買われた貴族」ということになります。


このような話をすると不動産業者特有の値付けテクニック論のような気がするかもしれませんが、私が興味があるのはそこではなく、「マイナスの価値」がかえって自分の希望を叶える場合がある、という気づきがあることです。

「マイナスの価値」(ここでは大金に対する五枚の革)は得てして人生や社会生活において真っ先に除外しがちな価値観ではありますが、時と場合によっては結果を導くための均衡をもたらす場合があります。

弊社では仕事の必須知識や経験のほかに、教養も重視しています。教養とは何か、と言われると難しいですが、ひとまずは「余裕のある知識や知恵」としたいと思います。

人間は生来からネガティブやマイナスの価値観というのを嫌うものですが、真理や本質の追求では除きがたい場合も実はある、ということを仕事にも活かしたいものです。

小林元

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